自分たちは今、利益を得られると思っていても、
その後にどのような災いが待っているのかを、ほとんど知らないのだ

奪うこと、助けること
将軍とその従者たちは、ある隠者を訪ねて山へやって来た。
将軍は靴と剣を脱ぎ、それらを信頼できる従者に預けた。そして供物を載せた盆を手に持ち、深く息を吸い、空を見上げてから、隠者に会う許しを求めた。
使いの者は急いで中へ入り、しばらくすると戻ってきて、将軍を中へ案内した。
将軍は供物の盆を差し出し、隠者の前にひざまずき、合掌して言った。
「尊敬する師よ。私は人生のほとんどを、この地域を治めることに費やしてきました。それがうまくできたのも、すべて師から授かった尊い教えのおかげです。わが国の国境は安定しています。朝廷に対する私の務めも果たしてきました。
来年には、都へ戻るよう命じられ、昇進し、そのまま都に留まることになるかもしれません。私は都へ戻る前に、大きな功績を成し遂げたいと思っています。」
「尊敬する師よ。隣国は国境で幾度となく問題を起こし、私は何度もそれを鎮圧しなければなりませんでした。彼らは私の才能を恐れているので、今のところはあえて何もしてきません。
しかし、もし私が都へ戻れば、彼らはおそらく我が国を攻撃してくるでしょう。
そこでお尋ねしたいのです。私は先に隣国を攻撃し、その都を占領すべきでしょうか。
そうすれば、彼らの王朝を完全に滅ぼし、その国を我が国の一つの州にすることができます。そうなれば、我が国は平和で安定した国となり、それが私の功績となるでしょう。」
隠者は首を横に振って言った。
「お前は平和を望んでいる。しかし、人を殺して平和を得ようとすれば、後になって我が国は混乱することになる。
今のお前の軍勢なら、確かに彼らを打ち負かすことができるだろう。しかし十年後には、さらに別の国が反対側から我が国を攻めてくる。
だからこそ、彼らを我が国を守るための防壁として残しておくほうがよい。もし別の国が彼らを攻撃すれば、我々には戦いの準備をする時間ができる。
最もよい方法は、彼らの経済、教育、文化の発展を助け、二つの国の間に親密な関係を築くことだ。
我々はただ真心をもって彼らを助ければよい。特に、因果の法則について理解できるよう助けるのだ。
そうすれば、やがてその国は強くなり、我が国を守る壁となる。
この方法は、征服するよりもはるかに優れている。
もし私の言葉に従うなら、お前の一族に受け継がれる福徳は、末永く栄えることになるだろう。」
将軍はしばらく考え込んだ。そして隠者の前にひざまずき、言った。
「師よ、本当にありがとうございます。この戦略は実に素晴らしいものです。」
将軍と従者たちは山を下りていった。
隠者は外へ出て、大きな石の上に腰を下ろした。
すると従者が尋ねた。
「尊敬する師よ。昨日も何人かの人がここへ来て、同じように立派な理由を掲げながら、他人のものを奪うことについて師に相談していました。
私は覚えています。師は彼らに『奪うのではなく、助けなさい』と教えていました。そのほうが、彼ら自身にとって、より大きな利益になるからだと。」
隠者は言った。
「そうだ。私は本当にそう思っている。
他人のものを奪うことは、残酷で不道徳な行為だ。
村長は、ある男の妻を奪いたいと言っていた。その理由は、その女性は夫と暮らすよりも、自分の妾になったほうが幸せになれるだろう、というものだった。
私は村長に、その夫婦が幸せになれるよう助けなさい、と教えた。
もし彼がその男の妻を奪えば、後になって災いに遭うことになる。やがて、すべての財産を破壊してしまうような、どうしようもない息子を持つことになるだろう。
また、ある地主は、別の家族の田んぼを奪いたいと言っていた。
その家族は米作りの方法をよく知らないのだから、自分がその土地を使ったほうがよい、という理由だった。
私は地主に、土地を奪うのではなく、その家族が米の収穫量を増やせるよう助けなさい、と教えた。
もし力ずくでその土地を奪えば、彼の孫たちは、やがてその同じ土地で命を落とすことになるだろう。」
「人は欲深いから、簡単に悪い業を作ってしまう。
しかし、自分たちは今、利益を得られると思っていても、その後にどのような災いが待っているのかを、ほとんど知らないのだ。」
私たちは、隠者の言葉が人々の心を目覚めさせる助けとなることを願っている。
著者:
Janna
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