親が子どもに倫理観を身につけてほしいと願うなら、
まず親自身が良い手本を示さなければなりません。親は子どものために、自分の悪い習慣や悪い友人関係を手放す責任があります。それこそが、親が子どもに与えることのできる本当の愛なのです。

子どもの直感
母親はなだめるように言った。
「ほら、坊や、お願いだから食べて。恐竜を買ってあげるから」
子どもは必死になって茶碗を押しのけようとした。母親はなおもなだめ続けた。
「坊や、これを食べなさい。誰かがあなたをいじめたら、お母さんがその人を叩いてあげる。ね?」
父親は新聞を置いて言った。
「僕は本当に後悔しているよ」
母親は睨みつけた。
「何を後悔しているの? 私と結婚したこと?」
「いや、君と結婚したことじゃない。君よりいい女性なんていなかったからね。僕が後悔しているのは、君を甘やかしすぎて、わがままにしてしまったことだよ」
母親は茶碗を放り出し、大声で泣き始めた。
「そう。私はもう甘やかされてしまったのね。もうあなたの妻にふさわしくないわ」
父親はぼやいた。
「どうして君は、うちの14か月の息子とそっくりなんだ?」
父親は上着を手に取り、家を出て行った。
しばらく歩いた後、父親は小さな喫茶店に入った。店主は手が空いていたので、父親の隣に座り、尋ねた。
「疲れているようですね?」
「仕事で疲れているんじゃない。家のことで疲れているんだ」
「奥さんに怒鳴られたんですか?」
父親はため息をついた。
「もし今、時間を巻き戻せるなら、結婚なんてしなかったよ。本当に大変なんだ。最初は恋に落ちて、彼女に連絡を取ろうとして、ラブレターを書いたり、自分の時間を彼女のために使ったり、いろいろなことで愛を証明しようとした。そして、彼女を甘やかしすぎたんだ。彼女が僕のプロポーズに『はい』と答えた頃には、もう心がすっかり傷んでしまっていた。でも、僕はあまりにも世間知らずで、それに気づかなかった。結婚してからは、さらに彼女を甘やかした。その結果、今では手の施しようがないほどわがままになってしまった」
店主はよく理解できていないようだったが、父親は続けた。
「彼女にひざまずいてプロポーズしたとき、僕は無意識に彼女を『崇拝する』なんて約束をしてしまったんだ。それ以前にも、ずいぶん大げさな愛の言葉を言っていたよ。『僕の人生で君だけがすべてだ。君なしでは僕には何もない』とか、『僕がどれほど君を愛しているか、君にもわかってほしい……月まで行って戻ってくるほど君を愛している』とかね。当時は、彼女を街のあちこちに連れて行って食事をするために、お金を貯めようと自分の食事まで節約していた。彼女がおいしそうに食べているのを見るだけで幸せだったし、自分の食べ物まで彼女にあげていた。だから家に帰ると、母の冷蔵庫に残っているものを食べていたんだ」
「だから彼女は、『私がいなければ彼は生きていけない』と思い込んでしまった。そして、それ以来ずっと地に足がつかなくなったんだ! 恋人であることと、夫婦であることは別物だという現実を、彼女は受け入れようとしない」
「お願いだから、声を小さくしてください。妻にこんなことを聞かれたら、私は生きていけません」
「今では彼女は、僕が彼女を甘やかしたのとまったく同じように、息子を甘やかしている。息子まで、もう現実離れした世界で生きているんだ。手の施しようがない!」
赤ちゃんは、言葉を理解するようになる前から、直感によって自然に家族のことを理解する力を持っています。しかし、言語がコミュニケーションの役割を担うようになると、この直感は次第に消えていきます。
子どもが直感を使って意思を伝えている時期に、「両親は自分をとても愛している」と感じると、その依存心や傲慢さが育まれてしまいます。これは自然な過程です。子どもを責めることはできません。もし子どもが甘やかされているのなら、それは親の盲目的な愛の犠牲者なのです。
愛は人に幸福を与えます。しかし同時に、人を依存させ、傲慢にし、結果としてその心を傷つけることもあります。誰かを愛するとき、私たちは実際に愛している以上に、その愛を相手に表現してしまいがちです。恋人を甘やかしてしまうのは、私たちの誇張されたロマンチックな愛なのです。
「……紫色の地平線へあなたを連れて行くと約束する
すべての雲を集めて、愛の城を築こう
あなたの髪に黄金の月が輝くように
星の光が愛する人の瞳を満たすとき……」
(『Purple Horizon』― Duy Quang)
そして後になって、私たちの過剰な愛は子どもたちをも甘やかしてしまいます。愛情表現を自制する代わりに、子どもにあまりにも多くの愛を示し、その心を壊してしまうのです。
そこには危険な心理的な公式があります。自分が愛されていると知れば、人は依存し、そして誇り高くなる。依存と傲慢さは、少しずつその人の人生を蝕んでいく。
配偶者がその依存心や傲慢さに耐えられなくなったとき、結婚生活は破綻します。夫婦は離婚し、そして子どもは甘やかされてしまいます。
愛の負の側面を強く自覚することは、とても大切です。どれほどパートナーを愛していても、その愛情表現をコントロールし、お互いが道徳的な人格を高められるようにするべきです。
徳のあるところには、幸福があります。徳が失われるところから、幸福も失われます。
幸せな家庭を築きたい夫婦は、お互いを過度に甘やかすのではなく、共に人格を磨いていく必要があります。
同じように、親は子どもを愛すると同時に、立派な人間になるよう真剣に教育しなければなりません。子どもが道徳心を持っていれば、将来、成功し幸福になるでしょう。しかし、依存心が強く、傲慢な人間になれば、その将来は台無しになってしまいます。
親が子どもに残せる最も価値ある財産は、お金ではなく道徳心です。
道徳心のある子どもは、勉強にも励み、人間関係にも恵まれ、人生で成功する多くの機会を得るでしょう。一方、親が子どもにお金とプライドだけを与えれば、その人生を蝕んでしまうことになります。
しかし、親が子どもに倫理観を身につけてほしいと願うなら、まず親自身が良い手本を示さなければなりません。親は子どものために、自分の悪い習慣や悪い友人関係を手放す責任があります。
それこそが、親が子どもに与えることのできる本当の愛なのです。
著者:
Janna
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